ダイヤルを回す

cooleyes kidd

2009年08月30日 09:10


『やっぱりそうか・・・まぁ、そんなもんだろうと思ってたんだけどね・・・』

電話男の声はひどく機械的で、まるで、彼女は電話の時報でも聞いているような気がした。

「進行は止められるそうよ。少しでも妄想を・・・蓄えて・・・そう!人とお話していると止められることもあるって」

彼女はそう受話器を持って言った。
ほおをつうっと、涙がついたい、ぽたぽたと受話器にかかるので、電話男はそれが気休めでしかないことを悟った。

『いいさ、気にするなよ。人間は「サヨナラダケガ、人生サ」なんだろ。俺は少なくとも永遠に死なない』

「・・・・・・」

『そうそう、君に話せなくなる前に言っておかないとね。』


気ヲツケナヨ。
時々、君ノ背中ニ、モヤモヤシタモノガ見エルンダ。
誰カガ、君ヲネラッテル・・・。


ツーツーツーツー・・・・・・・・・・・・・・・



10 老人街