2009年06月12日
九龍大飯店
彼女は異国へ来たことを痛感しつつ、その大きな門をくぐった。
極彩色のネオンと看板が彼女を迎える。
しかし、人影はない。
夜遅くの時間のせいか、それとも、この島にとっては早すぎる時間なのか・・・
彼女は目の前に広がる、まるで写真のような風景に見惚れながら、右手の大きな店へ足を向けた。
『九龍大飯店』
柱にかけられた看板の文字はすすけており、まず読み取れない。
しかし、上の大きなネオンの看板にはそうかかれている。
「いらっしゃい」
カウンター奥から、声がする。
しかし、客の気配はない。
「おや、新顔だね。ようこそ、kowloonへ」
店主はそういって、彼女を出迎えた。
スキンヘッドにやや青白い顔、片目を隠す眼帯が異質だが、kowloonではさほど珍しい人種とは思えない。
アジア系のややガタイのいい男性だ。
「はじめまして・・」
彼女は席に着くこともわすれて、店内を見渡す。
「観光・・・いや、この島にいつくつもりだね」
その男はつらつらと彼女のことをいいあてていく。
「なぜ、わかるんですか?」
彼女は恐る恐る言葉を口にする。
「さぁなぁ・・・カン・・・いや、なぜだかしらんが、観光するやつらは手ぶらでくる。永住するやつらはでっかい鞄
一個だけ抱えてくる奴が多い。そんだけの話だ」
男はそういいながら、タバコに火をつけた。
極彩色のネオンと看板が彼女を迎える。
しかし、人影はない。
夜遅くの時間のせいか、それとも、この島にとっては早すぎる時間なのか・・・
彼女は目の前に広がる、まるで写真のような風景に見惚れながら、右手の大きな店へ足を向けた。
『九龍大飯店』
柱にかけられた看板の文字はすすけており、まず読み取れない。
しかし、上の大きなネオンの看板にはそうかかれている。
「いらっしゃい」
カウンター奥から、声がする。
しかし、客の気配はない。
「おや、新顔だね。ようこそ、kowloonへ」
店主はそういって、彼女を出迎えた。
スキンヘッドにやや青白い顔、片目を隠す眼帯が異質だが、kowloonではさほど珍しい人種とは思えない。
アジア系のややガタイのいい男性だ。
「はじめまして・・」
彼女は席に着くこともわすれて、店内を見渡す。
「観光・・・いや、この島にいつくつもりだね」
その男はつらつらと彼女のことをいいあてていく。
「なぜ、わかるんですか?」
彼女は恐る恐る言葉を口にする。
「さぁなぁ・・・カン・・・いや、なぜだかしらんが、観光するやつらは手ぶらでくる。永住するやつらはでっかい鞄
一個だけ抱えてくる奴が多い。そんだけの話だ」
男はそういいながら、タバコに火をつけた。
Posted by cooleyes kidd at 22:59│Comments(0)
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